2016年5月16日月曜日

ショートケーキにろうそく30本立て寂しい30周年にジュリーを痛唱しナイロン100%にタイムスリップした夜。

 生まれてきちゃったから生きているようなもんで、死ぬ勇気もないから生きながらえているようなもんで、生きながらえている途中でたまたま「音楽」に出会ってしまっただけのことで、その音楽とやらにのめり込んでしまったがために30年経っちゃっただけのことで。たかが30年じゃねーかよ。いちいち騒ぐな、阿呆。と、屁のような自分に言ってみる。
 オレの記憶と計算が間違えていなければこの5月か6月で、ダンボール・バットは結成30周年を迎えるはずだ。30年っていったら大変なことだよな、と、まるで他人事のようにピンと来ない。本当に全然ピンと来ない。そして、30周年を迎えたにしてはとても寂しい30周年だ。片岡義男のロンサムカウボーイの文庫本をまた始めから読み直しながら5月の夕暮れに窓から吹き込むいくぶんヒンヤリとする乾いた風を感じながら、なんだか今、無力感と寂寥感に打ちひしがれている。先日のライヴを最後に、今後のライヴの予定は全くナシ。リリースの予定もなし。当たり前だが、雑誌に取材されるわけもなし。誰にも祝福されない30周年。いや、祝福されたくもないけどね、などと強がりを言ってみる。まあ、そんな30周年があってもいいだろう。
裸電球の明かりだけがポーッと灯る薄暗い4畳半の畳の部屋の真ん中のちゃぶ台の上に、コージーコーナーで買ってきたイチゴのショートケーキを1コだけ置いて、そのうえに一人ろうそくを30本並べて祝っている気分。どこから入ってきたのかアリが一匹ちゃぶ台の上を歩いている。そうか、アリよ、おまえも祝ってくれるのか。涙が出そうになる。よし、おまえにイチゴをあげよう。さあ、食べなさい。広大で真っ暗な宇宙にオレとアリと今にも消えそうなろうそくの炎がゆれるショートケーキだけが漂っている。
嗚呼、オレも機械のカラダが欲しいな。こんなゴミのような日本を、滅亡寸前の地球なんか捨ててメーテルとどこか遠い星にでも旅したいもんだな。オレの作る音楽をきっと理解してくれる星があるはずだ・・・・。最近、銀河鉄道999をケーブルのアニメチャンネルで見てるもんだから、ささきいさおが歌うエンディングテーマを思い出してつい感傷的になってみたりして。
嗚呼。30年か。今後の予定がまっさらなのも悲しいが、なんの答えも成果も出せないまま30年経ってしまったことに対する更なる無力感に襲われる。
ちゃぶ台の上でイチゴを食べるアリを見つめていたら裸電球の明かりに目が慣れてきたのか、正面の天井近くの壁をよく見りゃゲンズブールのレコードジャケットが飾ってあるのに気がつく。あれはたしか「第四帝国の白昼夢」!!あん!?右の壁に視線を移せばイアン・デューリーの「ニュー・ブーツ&パンティーズ」のジャケが!!ムムム!?さらに左の壁を見やれば、近田春夫の「天然の美」が!!そして後ろを振り返り見上げればブライアン・フェリーの「いつかどこかで」がオレを黙って見下ろしているではないか!!
嗚呼、わが偉大なる師匠たちよ!!オレは間違っているのですか?!オレのやり方は間違っているのですか?!どーしてオレの作る音楽は誰にも理解されないのでしょうか?教えてください!!!セックス&ドラッグ&ロックンロール!!ムギャーッ!!!!!!!!!・・・・と、頭をかきむしりながら発狂する場面でふと目がさめたのだった。片岡義男を読みながらウトウトしてしまっていたのだった。さっき針を落としたアーチ・シップのレコードもとっくに終わってしまっていてA面のレーベルの淵のところをカートリッジがクルクル回り続けていた。
オレと30年間、ダンボール・バットで活動を共にしてきたギターのサムソン。まあ、そもそもオレとサムソンとで始めたのがダンボール・バットなわけだが、あいつは意外と淡々としてるからなぁ、とくに特別な感慨も何もないんだろうなぁ。このまえのリハの帰りだって「もうすぐ30周年だよ。やんなっちゃうね」なんてオレがボソっと言っても「30周年!!イヒヒヒヒ・・・」って薄笑い浮かべただけだったもんな(笑)。まあ、それくらいドライなほうがいいんだろうな。じゃなきゃやってられないよな。
結局、この30年、どこにも居場所が見つからないまま、どこのグループやジャンルにも属することができないままここまで来てしまった。まさに流浪のバンドだ。ライヴハウスに呼ばれれば、いつも「色物(イロモノ)」の日か、他に出るバンドがいない「穴埋め」的な日に回される。ブッキングの人間も、ダンボール・バットをどう扱っていいのか困っていたのだろうが、そういう扱いのされ方にいつも苛立ちを覚えながらも半分諦めてきた。
やっぱり生まれてきた時代が間違っていたんだヨ!!1979年のロンドンに行きたい。ニューヨークに行きたい。いや、東京でいい。あのヒリヒリするような時代にタイムスリップしたい。そして、思いっきり暴れたい、ライヴをやりたい。客と殴り合いもいいだろう!!(オレは負けるけどね!!)S-KENとか81/2と対バンしたい!じゃがたらのステージに乱入したい!ナイロン100%でコーヒー飲みたい、ライヴに出たい!!そして近田センセイに手渡しでデモテープを渡したい!!
馬鹿だね(笑)。

つい先日、オレの企画で大久保のひかりのうまという小さいハコでイヴェントをやったのだが、ゲストとして出てもらったキンキーサロンもすでに結成17周年だとか。バンドを結成する前からダンボール・バットのライヴを見ていたと言っていた。オレも30年もバンドをやっていながら、興味をひかれるバンドとはそう多くは出会っていないが、キンキーサロンはオレにカッコイイと思わせる数少ないバンドだ。まあ、単にオレとリーダーの中村くんの趣味が近いせいなのかもしれないが。
この日も、ナカムラくんのキレのいいギターのカッティングとタイトなリズム隊が決まっていた。楽曲もコンパクトでポップでいい。ベースの彼女の竹の子族ファッションもバンドカラーに合ってて良いと思う。中でもライヴの最後にやってくれた「サタデー・ナイト」というオリジナル曲がオレは好きで、なにかの映画のエンディングに似合いそうなパンキッシュで甘酸っぱいナンバーなのだが、オレが冗談で「石井聰互に映画作ってもらってエンディングテーマにしたら合いそうだよね」なんて言ったら会場から笑いが起きた。まあ、そんな映画が出来たとしたらオレは爆裂都市での泉谷しげるみたいな役で出たいね!!
イベントの最後のコーナーでヴォーカルの中村くんとお互いに好きなジュリー(沢田研二)の曲をデュエット形式でカバーしたのだが、そのときのMCで中村くんがこういうことを言ってくれたのだ。「ダンボール・バットは30年絶えず活動してきた。そして、最新のナンバーが最新にカッコイイ」と。いやあ、オレは照れながらも正直胸が熱くなったねこんなことを言ってくれる人が世の中にいるのか、って。こんな仏のような人がいるのかって。そのまま、CDの帯のコピーに使いたいくらいの気分だね。「・・・by 今野雄二」の文字を入れて。

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【ネオン警察】ライヴ
(リーダーAMIのエクスペリメンタルな弾き語りソロユニット)
6月7日(火)@高円寺U-HA(ウーハ)
JR高円寺駅南口より徒歩5分
PM7:00開場/PM7:30開演
※ネオン警察はPM8:50頃~です。
料金:当日券のみ¥2000+1d

出演:(以下出演順に)
▼クリックすると動画見れます
瀬里奈(Piano&Vo
吉美四季(Piano&Vo)
ネオン警察
(AMI:Vo,Casio-Tone / MARI:Piano)

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【ダンボール・バット】ライヴ

※現在未定(オファーお待ちしております)




ライヴのご予約、お問い合わせは▼こちらのフォームから。当日お昼まで受け付け!
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今夜のBGM

おれの打ちひしがれた心に吹き込むそれは一服の清涼剤のようなメロンソーダの泡のような風。英語では味わえぬ、いなたいスペイン語の響きがほろ苦くもあり酸っぱくもある。丁寧なもてなしを受けるより、この麦飯のような飾らない無骨さが今は有難い。80年代から活動し今も現役(ダンボール・バットも!!)のペルーのバンドだそうです。




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ダンボール・バットのニューアルバム
「壊れたカセットは
AOR」

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    「壊れたカセットはAOR」/
ダンボール・バット
発売中!(2015.6.25発売)
全14曲(約1時間収録)/1500円+税/見開き紙ジャケット/歌詞・ライナー付き
作詞作曲・録音・ミックス・プロデュース:AMI
ジャケ画:逆柱いみり
CD帯・推薦文:コモエスタ八重樫
解説:岡村詩野、湯浅学
寄せ書き:
小野瀬雅生(クレイジーケンバンド)、
大田譲(カーネーション)、ホッピー神山
ゲスト・ヴォーカル:
蒼衣スイミング、市場大介(美人画家)、
Miiss Donutfromアメリコ)<敬称略>


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▼ディスクユニオン

2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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