2013年5月7日火曜日

“芸能”とは・・・と、勝新太郎に説教され韓国ラーメンに悟りを見た夜。


 韓国料理屋でのびたラーメン(「サッポロ一番」のような“袋”のインスタント麺を調理したもの)をすすっていたんですが、店にあったTVがずーっとケーブルの音楽番組を流していて、途中から、昨今世間じゃ有名らしい日本人3人組のグループのライヴをやりだしたのです。DJ一人に歌い手が二人というスタイルで、オレも名前ぐらいは知っていたのですが音を聴くのも映像を観るのも初めて。もちろん、そのサウンド、パフォーマンスにハナ毛ほどの共感も得られるはずもなく、のびた韓国ラーメンのチープな味を更に引き立てるかのような薄ら寒い歌詞、杓子定規な客の“煽り”を含め、オレにとってはひたすら嫌悪感を誘うものでしかありませんでしたが、まあ、彼らとは生きている世界も違えば価値観も月とスッポン、エスキモーとピグミー族ほどに違うわけだから仕方がありません。代々木だかどっかの巨大な会場を埋め尽くした数千人の客が歌詞を一緒に口ずさみながらノリノリで一体となった様はオレが普段聴いているようなバンドのそれとは全く違う病的なまでの明るさが支配する不自然な躁状態で、むしろ、新興宗教や、北朝鮮のセレモニーなんかのそれを思わせるものでした(いや、そう見えたのはオレの歪んだ人間性に問題があるのかもしれませんが)。
 それにしても凄い客の数です。毎回10人、20人のお客を呼ぶのにも四苦八苦しているバンドのリーダー(もちろんオレのこと!)としては実に悩ましくもあり凹まされる光景です。しかし、ここまで集客力の違いを見せつけられれば普通は嫉む気持ちも萎えてしまうもんでしょうが、オレの腹のムシは収まりません(笑)。クソっ!こんなのが「音楽」なのか?オレがやっているのは「音楽」じゃないのか?どーしてオレの作る音楽は誰にも理解されないのか?どーしてお客が呼べないのか?と、またいつもの悪いクセ、救いの無い堂々巡りの自己嫌悪スパイラルに陥るのです。食っていたラーメンどんぶりをコンクリートの床に叩きつけたい衝動をぐっと我慢したものの、「酒だ!酒だ!酒買―てこいっ!」とキャプテン・ビーフ・ハートのようなダミ声で叫ぶ岡千秋が女房役の都はるみと熱いデュエットを聴かせる♪「浪花恋しぐれ」でも歌わなきゃやってられねぇって気持ちにオレをさせます。普段はあまり酒を飲む習慣のないオレもこういう時ばかりは一升瓶のマッコリで抗ウツ剤とガスター10とやり場のない怒りとを飲み下しながらクソっ!クソっ!クソっ!と般若心経のように唱えること100万遍。有難や有難や、お陰でちょっと気がラクになったものです。
 どうせオレなんて一生アングラな曲を作り続けてアングラの森の裸の王様としてせいぜい世間に悪態つき続けて最期は誰にも看取られることもなく大量に売れ残った自分のCDの山の下敷きになって体中冬虫夏草に覆われて虚しく朽ち果てるのがオチなのでしょう。まあ、それもまた人生。結構結構こりゃ結構!!ああ、ダメだ、ダメだ。完全に自制が効かなくなりかけております、ボク。このままだと、犯罪に走りそうです、ボク。どなたかボクの心のブレーキを踏んでください。凹んで、ボヤいて、悪態ついて、凹んで、ボヤいて、悪態ついて、今日も今日とて日が暮れて。あん?なにやってんだ?オレ。そんな時間あるなら、とっとと曲作れや、売れない曲を100曲でも200曲でも300曲でも!!
 それにしても、です。どうしてオレの作る曲は誰にも理解されないのか、そして、ライヴにお客が呼べないのか、世間のせいにばっかりしていないで、まずは自分を省みることから始めなければいけないのではないか?何が足りていなくて何が余分なのか?そして、呪うべきは、テメェーの力不足・・・曲作り、ステージ上でのパフォーマンスを含めた表現者としての力不足ではないのか!・・・と、いつになく冷静さを取り戻し、自己分析を始めるオレ。いや、別にヤクが効き過ぎてるわけでも新興宗教に入信したわけでも自己啓発セミナーに参加したわけでも高額な怪しい水晶玉を買って開眼したわけでもありません。それは、さきほど読み終えたばかりの新書「天才・勝新太郎」(著・春日太一)なる我が師の一人でもある俳優・勝新太郎の壮絶な役者人生を伝えた評伝本に心動かされ、なにかを悟ったようなつもりになっているからに他なりません。ああ、勝新太郎の血の一滴でもオレのカラダの中に流れていれば・・・と、切に願ったオレには表現者としての「死ぬ気」が圧倒的に足りていないのだ、と、まざまざと痛感させられたのであります。
 「千里の道を行き、万巻の書を読む」・・・これは勝新太郎が愛した座右の銘だそうです(知人を通じて知り合ったある哲学者が勝に贈った言葉)。表現者たる者はどうあるべきか、という真理がこの短い文章の中には凝縮されているのです。その意味は・・・
 <心ある、本当の道を目指す人間は、自分だけの道を歩かなければならない。あえて、今まで、誰もが歩かなかった道を歩かなければならない。千里の道を歩いていくなかで、心に芽生えた疑問、芽生えた愛、芽生えた醜さ、芽生えた尊さ、いとおしさ、いつくしみ、すべてを、自分だけにしか表現できないやり方で、表現しなくてはならない。それらを、心ゆくまで発酵させ、人々が長いこと見慣れてきたものが、いかに退屈だったかを悟らせなければならない」
 ・・・馬が草をはむようにオレはこの言葉の意味を何度も何度も噛みしめ反芻し、「千里の道を・・・」と、さっそくヨレヨレの字で半紙に墨でしたため、オレの心の一番奥の粗末で建て付けの悪い床の間にたった今飾ったところです。合掌。
 さて、来週、5月16日(木)東高円寺UFO-CLUBで開催される雑誌「トラッシュ・アップ!!」とウチのバンド「ダンボール・バット」との共同イヴェント(詳細は下記ライヴ情報を参照ください)で7,8年ぶりで再演する予定のナンバー♪「シティー・ソルジャー」というオリジナル曲(後期ビー・バップ・デラックスに触発されて作ったようなニューウェイヴ~パンク調のポップなナンバー)。まあ、タイトルを直訳すれば“都会の兵士”といったところですが、オレの書く歌詞のほとんどは大意があるようでありません(笑)。が、歌い出しの歌詞を見ると1番は「TVゲームの中でおまえは、今日も一人ほふく前進・・・」で、2番は「書割(かきわり)のオフィス街でおまえは、明日も一人ほふく前進・・・」となっています。自分で書いておいて今さら気付いたのですが、これはオレ自身に向けて書いた詞なのではないか、と(笑)。そして、はなはだ強引ではありますが、ここに先に挙げた勝新太郎の言葉を重ねることも可能なのではないか?と。<心ある、本当の道を目指す人間は、自分だけの道を歩かなければならない。あえて、今まで、誰もが歩かなかった道を歩かなければならない・・・>。そうだ、今日も明日もあさっても、時には小さな傷をいくつも作り血を流しながらも一人“ほふく前進”の心持で進んでゆかねばならないのではないか、と。
 ああ、いつになくマジメになってしまった、ボク。大丈夫かこの阿呆。


★今夜のBGM★
 オレたちは所詮砂浜に無限に広がる砂の一粒に過ぎず、やがて波が全てを大海原に押しやってしまうだろう・・・実際の歌詞の内容は知らないが、そんな人生の刹那を勝手に妄想させオレをちょっぴりニヒルにさせるブライアン・イーノの歌声が実にニクイのだ。気の抜けた甘ったるいサイダーを口に含みながら心のどこかで苦虫を噛み殺した、此処ではないどこかを求めるオレの旅情をかきたてた遠いあの夏の日に聴いたかもしれない1曲。ブライア・フェリーを除く当時のロキシーミュージックの面々が全員参加し、その当人のジェントルな気質をそのまま音像化したようなギタリスト、フィル・マンザネラの涼風漂う1stソロアルバムより。
 ♪「BIG DAY」('75)/ PHIL MANZANERA


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次回「ダンボール・バット」ライヴ情報
2013年5月16日(木)
東高円寺UFO-CLUBにて
雑誌「TRASH-UP!!」 +ダンボール・バット共同企画第3弾!!
【ニューウェイヴ天下御免 VOL.3】

“80s”、“ニューウェイヴ”をキーワードに編集長自らがセレクトした若手バンドと、ダンボール・バットによる、シリーズ・ライヴ・イヴェントの3回目。編集長の選曲によるDJプレーも見ものです!

■DJ>屑山屑男(編集長)
 ■LIVE>
ダンボール・バット、
BARAMON、
うさぎの兵隊は待機。
FALSETTOS

 ※当ダンボール・バットは3番目PM8:30頃~です

PM18:30 OPEN / PM19:15 LIVE START / PM11:00 CLOSED
前売り予約¥2000 当日¥2300
※いずれも別途要ドリンク代500円

前売りのご予約はここをクリックして専用フォームからどうぞ


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次回「ネオン警察」(AMIソロ)ライヴ情報
2013年5月26日(土)

高円寺「円盤」にて

「Mark Sadgrove presents」

PM18:30 OPEN 19:00頃 START
¥1500(当日券のみ)

出演:GALAKUTA/Mark Sadgrove/ネオン警察
※当ユニットはPM7:30過ぎの出演

★自作の楽器を操る、高円寺在住のニュージーランド人・物理学者
MARK SADGROVE主催の定期イヴェント。


2013年7月26日(金)
八丁堀「七針」にて
「ネオン警察・レコ発~八丁堀に電気クラゲが出た!(仮)」
CD先行販売(サイン入り)・オマケご用意予定

PM19:00 OPEN / PM19:30 START
予価¥2000(当日券のみ)
※ドリンク持ち込みOK
(店内でもビール¥300、ジュース¥200等販売しております)

出演:ネオン警察、蜂鳥あみ太=4号、他
※詳細調整中

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▼ネオン警察1stCD「空間の犯罪」発売告知PV
2013年7月27日発売/全10曲(42分)/¥1200+税/歌詞付/
CD「帯」推薦文:直枝政広(カーネーション)
解説:岡村詩野(音楽評論家)/
ライナー寄書き:蔦木俊二(突然段ボール)、
屑山屑男(「TRASH-UP!!」編集長)
ジャケット写真:AMI/デザイン協力:嶋田真由美(「TRASH-UP!!」デザイン室))


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◆ダンボール・バットでは、イヴェントへの出演依頼随時募集中。お問い合わせはこちらから
◆ダンボール・バット公式サイト
http://danballbat.cside.com/


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▼ダンボール・バットNEW ALBUM告知CM
▲『馬鹿ヌーヴェルヴァーグ』 ▲品番:TSR69002/発売:東京産業レコード ▲2012年1月31日発売 ▲全11曲(約42分)収録 ▲録音・ミックス・プロデュース・作詞作曲:AMI ▲W見開き紙ジャケ仕様/歌詞カード付 ▲CD帯コピー文:ROLLY(ローリー) ▲ジャケット写真&デザイン:常盤響 ▲ライナー:岡村詩野&湯浅学 ▲寄書き:白井良明(ムーンライダーズ)&サミー前田 ▲ゲスト・シンガー:ジョン<犬>&イライザ・ロイヤル(エコダムド/ex穴奴隷) ▲サポート・コーラス:MARI(BLACK&BLUE) <以上・敬称略> ▲収録曲 「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」「ファッション革命」「滿民の敵」「シュトラウスは夜に殺せ」「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」「狩人だから」、他全11曲 ▼下記各オンラインショップにて販売中! [AMAZON][TOWER RECORDS][DISK UNION][楽天ブックス] ※ディスク・ユニオン(インディーズ・コーナー)、タワーレコード新宿店、タコシェ(中野ブロードウェイ内)等の店頭でも販売中。 ----------------------------------------------------------------------------------   ■「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」全曲高音質ダウンロード販売開始!特集記事も読めます。こちらから!(提供:OTOTOY) http://ototoy.jp/feature/index.php/20120326 --------------------------------------------------------------------   ▼DANBALL BAT最新ライヴ映像V▼ 「イージー・リスニング、ハード・リスニング」 (LIVE@UFO-CLUB 2013年2月) ----------------------------------------------------------------------------------  ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「ドライ・フルーツ、ドライ・サン」/ダンボール・バット (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より) ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「アポカリプス・ドゥ・オア・ダイ」/ダンボール・バットfeat. イライザ・ロイヤル (アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より) ▼DANBALL BAT最新PV▼ 「シュトラウスは夜に殺せ」/ダンボール・バット(アルバム「馬鹿ヌーヴェルヴァーグ」より)  
 

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