2011年2月13日日曜日

そして、犬の背にも雪。

建国記念日のおととい、TOKYOにも雪が降りました。オレのような貧民屈の奴隷に祝日もへったくれもありません。前の晩遅くまで続けていたレコーディングの編集作業が上手く行かずなんとも苦々しい気分の中、このまま会社を休んで編集作業の続きをやりたい、という後ろ髪を引かれるというか後ろ髪を根こそぎ引っこ抜かれるような思いを捻じ伏せて、世間様が温かい布団の中でまだ睡眠をむさぼっている時刻、口を糊する為のわずかな日銭を稼ぐため、人気の無い駅から地下鉄に乗り込み一人トボトボ奴隷農場(=会社)へと向かいました。途中、雪のちらつく中、向こうから人に引かれた散歩中の犬がやってきました。歳を取っているからなのか単に太りすぎのためなのか、ノソノソ、ヨタヨタと重い足取りで接近してきます。近づいてみると意外と大きく、雑種と思われるその犬の茶色の平べったい背中には、既にうっすら雪が積もっていて、それを見た瞬間なぜか「風流」だな、というヘンテコな想いと、どこか間の抜けた微笑ましいものを感じ、それがオレの灰色のすさんだ気持ちを一瞬なごませてくれたわけです。すれ違いざまに犬と目が合ったような気がしましたが気のせいだったかもしれません。ただ、心の中でその犬に礼を述べオレは先を急いだのです。


バス・ドラムの80Hz以下の超低音は思い切ってローカット・フィルターをONにすることによりモコモコ感が減り若干スッキリした感じがします。コンコン言うスネア・ドラムにはコンプレッサーでアタック音を潰して残響音(胴鳴り)の部分を持ち上げてみたら若干音に厚みが出たような感じがします。・・・分からない人が読んでもなんの事やらさっぱりでしょう。しかし、書いている本人もよく分かっていません。先日録り直したウチのバンドのドラムの音の処理にこの1週間脂汗を流しながら四苦八苦しています。7割は当てにならないレコーディングに関する参考資料の山を最初から読み返し、普段はめったに開くことのない録音機材の取り扱い説明書をスミからスミまで目を通し、限られた材料、機材、技術の中で最良の音に仕上げるにはどうしたらよいものかと連日連夜昼間の仕事でクタクタになった体にムチ打ちながらの試行錯誤。たかがゴミ・アルバム1枚作るのにここまで没頭するとは自分ながらにキチガイ沙汰だな、と、ここ2,3日思うようになりました。大丈夫オレ?すでに耳鳴りが。ん、幻聴?いや、近所のスナックから漏れてくるカラオケの音?いや。オレの鼓膜の裏でルイス・フューレイが歌っている声か?


今年の冬の寒さは厳しいといいます。実際、大雪の被害が全国各地で報告されています。しかし、オレがン十年前に出てきた頃のTOKYOはこれくらい寒かったように記憶しています。10分も着ていれば肩こりしそうなぐらい凄まじく重たい厚手のコートを着ていたのを覚えています。エリの部分に毛皮のようなモコモコのファーが付いた古着のコートでお気に入りだったのですが、それをいつ捨てたのか今では思い出せません。




◆今夜のBGM
どこを見るとでもない虚ろな視線。眉間のシワには多くを語らなくとも分かるその男(ひと)の過去が。オレの心の師、前川清が歌う異色曲(作詞:糸井重里、作曲:坂本龍一)。
「雪列車」/前川清


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